紀伊山地  大峯奥駈道 胎蔵界ノ巻

行けども行けども続く大峯の山々

古代より脈々と息づいてきた森羅万象

 

人はその悠久の中に身をおいてこそ

人のありようを知るのである

 

 

胎蔵界は仏の慈悲により悟りの心を育む世界とか

 

両部の境界を越え、胎蔵界に入ると

そんな境地を垣間見るような世界があった

 

 

 

 

五百羅漢

 

修行者たちを護る大峯の神仙たちの現れだとか

峯中屈指の威容である  

 

 

 

そして

ピラミダルは眼前に 

 

釈迦ヶ岳

 

その山の名は、釈尊入滅の場所になぞらえられたものだとか 

 

しかし

そこに沙羅双樹は無かった

 

厳しさの中にこそ、仏の慈悲は存在するというのか?

 

 

大峯奥駈

ここに極まれり!

 

岩壁に張り付き

木をつかみ岩を攀じる

 

そして数刻の後

山頂にてまみえる釈迦如来

 

 

数え切れないほど多くの修行者たちが

この「聖地中の聖地」で祈りを捧げてきた

 

 

 

この頂にたたずむだけで

魂のふるさとに帰ったような

安らぎと喜びを感じることができるのだ


 

 

 

 

ナウマク  サマンダ  ボダナン  バク

 10/29

     行者還ノ宿 5:35~ 一ノ垰 6:35~ 八経ヶ岳 9:45~ 舟ノ垰 12:05~ 仏生ヶ岳 13:45~

     釈迦ヶ岳 16:00~ 深仙宿 16:45 

 

 

 

 

大日岳の行場から始まる5日目

鎖を使って岩場の頂上を目指す

 

 

ちなみに

下りもこの岩場を降りたが

文字通り命がけの行場である

 


 

大日如来の鎮座する山頂で 

5日目にして、やっとご来光を拝む

いつにも増して荘厳なひと時ではあるが、風は相変わらず強いまま 

深山幽谷

 

 

大峯山はまさしく

日本の霊鷲山である

 

 

 


太古ノ辻に着く

ここを境として、これより先は南奥駈道となる

 

修験道の旅もいよいよ後半

進むほどに標高は低くなっていき

一見穏やかに見える南奥駈の峰々

 

しかし起伏の多さは北奥駈以上

そしてその起伏すべてを越えねばならない 

これこそが修験道

 

 

振り返ると

釈迦ヶ岳は遥か彼方に、おおらかになっていた

無情の世界から


永遠の世界へと


 10/30

   深仙宿5:50 ~ 大日岳6:20 ~ 天狗山8:25 ~ 涅槃岳10:40 ~ 持経宿12:00 ~ 転法輪岳13:50

   ~行仙岳15:35 ~ 行仙宿16:05

笠捨山のつらいガレ直登から始まる6日目

しかし核心はその先の地蔵岳にあり!

その峻険さは南奥駈随一

 

鎖や木の根をつかみながら

体を上へ上へと押し上げる

 

樹林で展望が無い分

高度感はさほどでないが

万が一足でも滑らせりゃぁお陀仏・・・

 

奥駈でも指折りの峻険なのは

間違いないだろう!

 

ちなみに奥駈道中で

ここが3座目の地蔵岳となる

 

いかにも大峯らしい


 

植林の多くなった奥駈道を駈ける 

 

人の営みと自然とが密接にかかわりあう奥駈道

  

 

深山幽谷だけが大峯に非ず!

 

そして人と神仏とが結びつきを強めていく大峯

 

 

玉置神社

 

崇神天皇の創建と伝わり

國之常立神を祀っている希少な古社

 

 

その境内は杉の巨樹群に抱かれ

古代の姿そのままに

神気に満ち溢れている

 

 

幾多の天皇が参拝行幸し

役行者や弘法大師が修行した玉置神社

 

 

そのパワーは時空を越え

現代にまで息づき

途絶えることはない

 

 

 


 

手水舎にて

某有名人の奉納したひしゃくに思わず釘付け・・・

 

「不肖しぇるぱ、修行のさなかで修行を忘れてしまったぁ~!」

 

 

大和なる 玉置の宮の 弓神楽

弦音すれば 悪魔退散

 

 

 

 10/31

     行仙宿5:25 ~ 笠捨山8:15 ~ 地蔵岳9:28 ~ 貝吹金剛11:25 ~ 花折塚13:55

     ~玉置神社15:20 ~ 16:38水呑金剛分岐

峰中最後の1000m峰である大森山を越える

 

途中では熊野の町並みも見え

いよいよ大峯奥駈道の旅も終幕が近い

 

しかし、そうは簡単に終わらないのも奥駈道

 

 

 

大峯最後の鋭鋒である五大尊岳

その山容に違わず、やはり厳しいアップダウン・・・

 

辻越え、山越えはまだまだ続く

 

十津川(熊野川)を見下ろす

そのうねりは、まるで意思を持った巨大な生き物さながら

 

奥駈を駆け抜けていったかつての人々も

この悠久の流れに何かを感じたことだろう

 

奥駈逆峯の最後の山、七越峰を越える

しかし十津川に降り立つ最後の最後まで続くアップダウン

 

奥駈道が奥駈道たりえることを

最後の最後まで味わうのである


 

昔の例にならい、十津川を渡渉して水垢離をしたかったのだが

渡渉可能な水量か判断がつかなかったので

素直に備崎橋を渡って本宮の町に入る

 

明治まで本宮大社があったという大斎原

今そこにあるのは、日本一大きい大鳥居のみ

 

終着地の熊野本宮大社にて

 

長かった大峯奥駈道(逆峯)が終わった

 

修験の道 大峯奥駈道

それは大自然の清らかなパワーにより

心身が再生する場所 

 

 

人は思いを込めれば込めるほど

どんどん偏り、本当に大切なものを見失いがちだ

 

であるからこそ

人の力ではどうにもならない森羅万象の中に身をおくことで

人は己の力量を知り、やがて自分にとっての大切なものを得てゆく

 

それこそが修験道の境地なのではないかな?

 

おそらく

 

 

 

 

 

 11/1

 水呑金剛7:05 ~ 大森山8:40 ~ 五大尊岳9:45~大黒天神岳11:10 ~ 七越峰13:30 ~ 熊野本宮15:00

 

 

 

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